全日本高校模擬国連大会参加者の声

全日本高校模擬国連大会参加者

玉置真帆さん 第5回大会参加・和歌山県立日高高校(和歌山県)出身

―参加されたきっかけは何でしたか。
同級生に誘われたことが、そもそも大会を知ったきっかけです。参加を決めたのは、恵まれた稀有な機会だと確信したからです。私は当時、官僚を志していました。模擬国連総会に各国の代表として参加し、そこで頭角を現しながら議論して世界的な議題の解決へ歩を進めていく、という一連のタスクやそこで必要な能力が、私の夢の助けになると考えました。そして私の予測以上に、そこで得られるモノに価値があると感じたのです。

―大会に向けた準備について教えてください。
期間的には他の出場者より少ないと思います。そしてリサーチしかしていませんでした。ただ濃密な1ヶ月を過ごしました。まず、議題に関する予備知識を徹底的にネットや書籍で調べて理解しました。ここで傲ったりせずに初歩に立ち返る作業が重要だと思ったのです。担当国が決まった後は、その国の立場や方針について関連ホームページなどで調べました。私が参加したのはエネルギー安全保障という議題でしたが、そのテーマにおいて自分たちがどのように行動すれば国益に繋がる結果を生むか、をイメージしていました。そして最後にオリジナルな作戦を用意していました。例えば、専門機関で働く人にインタビューなどをして、ネットだけでは得られない情報を集めました。私の場合は日本原子力研究開発機構の方に最新技術について伺いました。後は時間の許す限り、他国の立場について調べて整理しました。

―参加して良かったと思いますか。
 大会に参加したことは今でも私の誇りです。今振り返ると、高1の私はとても小さな人間だったと思います。頑固で快闊な、だけど普通の高校生でした。世界が狭い田舎で頑張ったところで、その外にいる実力者に会えない。井の中の蛙大海を知らず、です。当時の私はこの言葉に尽きます。模擬国連は私を井の外の世界を魅せてくれたのです。
模擬国連を経て、私は成長しました。会議の独特の緊張感や研ぎ澄まされる集中力を体感しながら、人を巻き込む弁論力、他人の意見も聞き入れる寛容さを高めていきました。それだけでなく、人間力も高まったと感じています。自分に対する自信や、他人への信頼。独壇場が重要だと思わせないグループワークの存在感。私はこれらを経て、一回り大きな人間になったと自負しています。
そして私が1番感謝していることは、たくさんの優秀な参加者に出会えたことです。今でも交流があり、私が躓いたとき、彼らの存在が支えとなってくれました。切磋琢磨して、ともに人生を描いています。

―参加にあたり、苦労されたことはありますか。
 私の高校は、模擬国連という活動を経験したことがなく、私たちペアがパイオニアの状態でした。つまり情報がないのです。大会の様子、会議運営の方法、リアルな雰囲気、他の参加者のレベル、など大会そのものの情報が全くありませんでした。なので、会議の練習もできませんでした。そのことが準備において悔やまれることでした。今だから言えることですが、会議が始まった直後の会議全体の動きにいちいち挙動不審でした。
 誰にでも得意不得意があるように完璧な準備など無いのです。自分たちに出来ることを精一杯やることが、練習不足をカバーできる唯一の手段だと信じ、リサーチに力を入れました。

―これから参加する高校生にメッセージをお願いします。
 自分の努力を信じ、背中を任せる信頼関係を相方と築いて、全力で挑んでください。ただ悔いを残さないでください。

T.Y.さん 第9回大会参加・清教学園高等学校(大阪府)出身

―参加されたきっかけは何でしたか。
 私がこの大会に参加しようと思ったきっかけは、国際関係のイベントで知り合った先輩から模擬国連というものがあると聞いたことです。それまでは模擬国連の存在さえ知りませんでしたが、グローバル・クラスルームのホームページを見てみて、高校生が一国の大使になれるという点に惹かれて「模擬国連をしてみたい。全日本大会に参加したい!」と思いました。
―大会に向けた準備について教えてください。
 選考結果発表までの間は議題についての理解を深めました。担当国が発表された日から大会当日までの約1ヶ月の間は毎日学校でリサーチを行いました。リサーチは基本的に、グローバル・クラスルームから配布されるマニュアルを参考に進めました。
 政府や国連のような、できる限り信憑性のあるサイトから資料を探しました。欲しい情報が日本語で見つけられない場合は英語でも資料を探しました。また、自分の担当国への留学経験がある先生からその国のお話を伺って、自国の政策立案の参考にしました。

―参加して良かったと思いますか。
 私は全日本大会に参加してよかったと思っています。この大会から得た何よりも大きなものは、二日間の会議を一緒に経験した仲間です。国連や国際問題に関心のある全国の高校生に出会って、私は大きな刺激を受けました。模擬国連以外の活動をしている参加者も多く、そういった人と話をすることによってより広い視点でものを見ることができるようになったと感じています。
 また、様々な力を身につけることができるという点において模擬国連は魅力的です。大会への準備として担当国について調べ、担当国の抱える問題を解決する方策を考え、大会で様々な国の大使と話し合うことでリサーチ力、課題解決能力、交渉力などが身につきます。これだけ多くの力を一度に養えるのは模擬国連ならではだと思います。

―参加にあたり、苦労されたことはありますか。
 大会参加に当たって苦労したことは、模擬国連の会議に初参加である上に、周囲に経験者が一人もいなかったことです。会議がどのように進むのか想像がつかなかったため、学校の先生にご協力いただき、大学模擬国連の世界大会に参加する学生を指導されている先生に学校にお越しいただきました。
 このように、模擬国連に深く関わっておられる方から直接お話を伺ったことによって刺激を受けると同時に、模擬国連がどのようなものであるかイメージすることができるようになりました。

―これから参加する高校生にメッセージをお願いします。
 模擬国連と聞くと、「何をするのかよく分からない、難しそう」と思うかもしれませんが、その面白さは一度参加してみれば分かります。少しでも興味を持った人は、全日本大会に挑戦してみてください。学校内では出会えないような、沢山の仲間との出会いがあなたを待っています!

森田智子さん 第9回大会参加・東洋英和女学院高等部(東京都)出身

―参加されたきっかけは何でしたか。
 学校の友人に誘われたのがきっかけです。ホームページの本格的な会議の様子をみて、私も模擬国連大会に出場し、大使として会議に参加する経験をしてみたいと思いました。国際機関にはもともと興味があったので、この機会にいろいろ学びたいという思いから挑戦することに決めました。

―大会に向けた準備について教えてください。
 フィリピンの大使として自分の国についてよく知るために、図書館やインターネットを利用しました。歴史や文化をはじめとした基本的知識だけでなく、現在抱える問題を広く調べるように努めました。そのうえで、フィリピンの抱える移民の問題を世界各国の力を借りてよい方向に持っていけるかを、実際の会議に向けて考えました。移民に関するセミナーやワークショップにも積極的に参加しました。法務省や元国連職員の方、異文化理解について研究されている教授など、様々な立場で世界の人の移動に関わる方のお話を伺うことができたことは、政策立案にも役立ちました。

―参加して良かったと思いますか。
 勉強会やセミナーに参加して多くの方からお話を聞くことができたことは、移民の問題をはじめ、世界の様々な問題に目を向け、問題意識を持って考える良い機会であったと思います。各国で課題の多いとされる国際移住の問題に関して、自国あった政策と改善策を探していく過程で、国際問題をより身近な問題として捉えることができるようになりました。
 模擬国連は意識の高い同年代の人との交流できる場だと思います。ディベートで鍛えた発言力や、英語での資料作成などの高い能力の人には多くの刺激を受けました。この大会を通して視野が広がり国際問題に対する意識も変わり、高校生でこのような経験をできたことは本当に良かったと思います。

―参加にあたり、苦労されたことはありますか。
 初めての大会参加だったため、模擬国連のルールをはじめ政策立案や資料作成の方法といった、基本的なマニュアルを覚えるところからのスタートでした。過去に模擬国連に参加した先輩や知り合いもほとんどいなかったため、大会の進め方や雰囲気、事前資料の作成方法など事前準備にも手間取りました。手探り状態のまましばらくは、大会前に配布されたマニュアルと議題概説書を読み込むことくらいしかできませんでした。幸い実際に国連で働いていらした方から政策立案や文書の書き方のアドバイスをいただくことができ、なんとか本番前に一通りの準備を終えることができました。
 大会当日は、「国際移住と開発」というテーマに即し、国ごとに抱える状況や問題がある中で、それぞれに利点があるようにまとめるのはとても難しいと感じました。お互いが協力し、助け合って話し合いを進めていくことで、最終的には皆が共通理解を持って同じ目標に向かうことができました。全力で話しあう中で仲間のような団結力が生まれ、達成感を味わうことができたことがとても印象に残っています。

―これから参加する高校生にメッセージをお願いします。
 模擬国連に参加し、本当にたくさんの刺激と学びを得ることができました。私自身その時期には進路に少し迷いがあったのですが、模擬国連のメンバーにたくさんの刺激をもらい、目標であった医学部へ進学することができました。皆さんも模擬国連を通して自分自身の目標を明確にし、将来につなげていってもらえればいいなと思います。

飛知和志帆さん 第9回大会参加・早稲田大学本庄高等学院(埼玉県)出身

―参加されたきっかけは何でしたか。
学校の廊下に貼られていた模擬国連のポスターが目にとまり、NYの国連本部の大きな写真に惹かれて、隣にいた友達と応募してみようということになりました。ポスターを見るまで、模擬国連というものがあること自体知りませんでしたが、過去の実績やポスターに寄せられた緒方貞子さんのメッセージを見る中で、権威ある大規模な大会であると知りました。

―大会に向けた準備について教えてください。
 校内選考は夏休み中に行われたので、まず各自で課題の本を読み、それぞれ文章を作りました。休み中に日程を合わせて一度2人で会い、2時間ほどかけて推敲しました。全国大会出場が決まった後は、2人の部活がない木曜日と、毎昼休みに準備を行いました。希望の国を担当することができなかったので、資料も限られており、英語の文書にも当たって見ることになりました。日本語担当と英語担当に分かれ、家に帰った後の時間を資料集めと情報収集の時間に、2人で作業する時間を情報交換と文書作成の時間にあてました。

―参加して良かったと思いますか。
 大会に参加できたことは、本当に良かったと思っています。大会に実際に参加するまで、話し合いに参加している大使たちにどうやって順位をつけるのだろう、こんなに多くの国が集まって、どうやってコンセンサスを目指すのだろう、模擬国連部として普段から活動している人達がいると聞いたけれど、一体部活として集まって何をしているのだろう...と分からないことだらけでした。議場に入った瞬間、私はそのピリリとした空気感に圧倒され、正直、自分の担当の国の国益を守る為にベストな動きがとれたとは思えません。しかし、他の大使たちのやることを見ながら、どのようにメインの部分の議論をリードし、瑣末な問題に振り回されないようにするか、などなど学ぶことは大いにありました。さらに、議会の中で出会った仲間とは会期後も交流が続き、facebookを開くと、仲間たちの近況報告が次々入って来ます。また違ったフィールドでも活躍する様子を見ていると、私も頑張らなくてはととてもインスパイアされます。

―これから参加する高校生にメッセージをお願いします。
 模擬国連は一国の大使役で参加する単なる国連のシュミレーションではありません。そこから得られるものは、これから学問をする上での作法となるような、資料収集や文書作成などのノウハウ、2日間を通して意見を交わす仲間との人脈、問題点を抽出しブラッシュアップしていく力など、数え切れません。私がそうだったように、高校時代の思い出の鮮やかな一ページになることに相違ないので、是非、持てる力を全て持って楽しんで取り組んでもらいたいと思います。

尾先由崇さん 第10回大会参加・札幌日本大学高等学校(北海道)出身

―参加されたきっかけは何でしたか。
 第9回の全日本大会に出場していたSGHの先輩から勧められたため。また、将来の夢は国連職員になることなので、以前より強い関心をもっていました。全日本大会に出場することを通して、自分と同じような目標を持っていたり、多方面で活躍する多くの仲間と出会うことができるのではないかと考え、出場を決意しました。

―大会に向けた準備について教えてください。
 議題に関する多くの文献・論文を読み、情報収取・整理することから始めました。情報収取するに当たって気を付けたことは、偏った情報源にならないことです。日本語のサイトや文献だけを参考にするのではなく、その議題で想定される対立軸を基に、多方面からの情報を把握できるように努めました。 準備にはおよそ2か月ほどかけました。

―参加して良かったと思いますか。
 大変良かったと思います。自らの交渉力やスピーチ力を実践・向上させる良い機会になったということはもちろんですが、私は模擬国連活動をする中でも、全日本大会に出場する最大の意義は、「出会い」にあると考えています。 私の場合、住んでいるのが北海道ということで、なかなか自分と同じような活動をしていたり、目標を持っている人と関わる機会がありません。ですが、全日本大会では、自分と同じ目標をもっていたり、多方面で優秀な実績を持っているハイレベルな仲間と出会うことができます。彼らとの出会いは、自分にとって大きな刺激になることは間違いありません。そして大会が終わった後にも、大きな繋がりとして残り続けます。全日での「出会い」は私の人生を変えたとも言えるくらいです。

―これから参加する高校生にメッセージをお願いします。
 全日本大会には、通常の模擬国連活動以上に得られるものがあります。 無論、日本全国から高いレベルの高校生が集まりますから、圧倒される場面も少なくはないと思います。ですが、あなたも同じく選ばれた日本を代表する高校生です。自分に自信をもって、有意義な大会を迎えてください。そしてなにより、「出会い」を大切にしてください。日常では出会えない仲間が、あなたを待っています。

橋本 康平さん 第10回大会参加・宮崎大宮高校(宮崎県)出身

―参加されたきっかけは何でしたか。
高校生になり、英語の勉強にかなり力を入れて過ごしていたのですが、その中で大学受験ではない形で英語が使えること(モチベーションとして)にチャレンジしてみたいという思いがあり、英語ディベートなどいろいろなことを調べている中で、模擬国連というものがあるのを知りました。以前から政治に興味があった私は俄然興味がわいて、来年の全日本大会に出ようと心を決めました。これが2015年の冬ごろだったと思います。
このあと、実は何もアクションを起こせていなかったのですが、2016年3月に行われたイベントで9期派遣生と知り合い、練習会に誘われて行ってみたところから本格的に取り組み始めました。

―大会に向けた準備について教えてください。
準備したことは、過去の文書やニュースを使った自国・他国の状況分析や議題・議場の理解など、特別なことはほとんどしませんでした。予選結果の発表後すぐにリサーチを始めましたが、学校行事や試験で忙しかったため、あまり時間をかけられませんでした。もっと早く、計画的にやっておけばと後悔しています。

―参加にあたり、苦労されたことはありますか。
私は地方出身で、近くに模擬国連を知っている学校もなく、"はじめの一歩"が一番の苦労だったかもしれません。たまたまの出会いが大きなチャンスをくれたので、広いアンテナをもつことが大事だったのかもしれません。

―これから参加する高校生にメッセージをお願いします。
 主に地方のみなさんにメッセージを宛てたいと思います。
模擬国連のことを知って、やりたいと思うけど、でもどうすれば...と思っている人は少なからずいるのではないでしょうか。
全日本大会に出ることは目標であって、目的ではありません。練習会に参加するだけでも本当にたくさんのことを学べます。今はFacebookで告知している会議も多数ありますし、門戸は広がっています。いわゆる"常連校"にメールを送ってみるなど、勇気を出して何かアクションを起こしてみてください!きっと多くの実りが得られるはずです。
今スタートラインに立ち、希望に満ちた眼差しで未来を見つめるチャレンジャーの皆さんを、心から応援しています。