第四回 全日本高校模擬国連大会

2010年11月13日(土)‐14日(日)、東京の国連大学におきまして、第四回全日本高校模擬国連大会を開催いたしました。本大会には全国36校から 51チーム102名にご参加いただき、盛会のうちに幕を閉じることができました。この場を借りて、参加者の皆様及び暖かいご支援・ご協力を賜りました方々 に心より御礼申し上げます。

■会議設定

【設定会議】国連総会本会議
(United Nations General Assembly, Plenary Meeting)
【議題】安全保障理事会の議会席拡大と衡平配分および関連事項
(Question of equitable representation on and increase
in the membership of the Security Council and related matters)
【言語】 (公式/非公式/文書)
英/日/英
議題解説書 :GCJ2010BG.pdf

■会議設定

今回、いわゆる安保理改革と呼ばれる「安全保障理事会の議会席拡大と衡平配分および関連事項(Question of equitable representation on and increase in the membership of the Security Council and related matters)」という会議を設定した意図は、以下のとおりです。
以前の大会では、気候変動・子ども兵・地雷といった広く一般に知られたテーマ性の強い議題が取られてきました。また、ややもすれば国家間の対立や国益がそこまで明確ではない議題であったとも言えます。
もちろん、そのような議題で会議を行い、様々な国際問題について多くの高校生の皆様に興味を持っていただくことは大事です。しかし、今回の会議では、安保理改革という、やや異なったタイプの議題を設定しました。安保理改革は、テーマ性に少し欠ける部分はあるものの、今まで60年間ほど安保理改革が実際に実現していない事実に象徴されるように、各国間の対立が激しく国益も明確な議題です。模擬国連の一つの意義として、議題に対する各国間の対立を意識して、その対立をどう埋めていくかというプロセスを体験してもらうことがありますが、安保理改革はそれに適した議題であると考えました。
安保理改革では、国益が明確で対立が多いためか、現在に至るまで様々なグループや国連から提案がなされてきたものの、どの提案も実現していません。このような議論の硬直状態を打開するためには、独創的で柔軟性のある提案が重要です。そうした意味で、高校生らしい発想を、今回の安保理改革という議題で、生かしていただけるとも考えました。
さらに、安保理改革では、国連の核心部分ともいえる安保理について話し合います。国連内部の事項を対象とした、国連の場でしか話し合えない議題は、模擬国連をする議題として重要であると考えました。

■会議経過

<会議初日>
会議開始冒頭では、各国によるスピーチが多めに回されました。その後、自由に立ち歩いて交渉の出来るUnmoderated Caucusにおいて、グループごとに分かれて、会議の最終報告書たる決議のたたき台となる決議案(DR)の作成が行われました。結果として、4つのDRが提出されました。
DR提出後は、議長主導で進める討議であるModerated Caucusにおいて、各グループの代表者が、①各グループの構成員、②DR提出の有無とその内容などを議場に共有しました。


<会議二日目>
会議初日に提出されたDRに対する会議監督によるチェックの結果、DR1,2,4は矛盾した内容を含んでいることが分かりました。矛盾した内容を抱えたDRは正式に提出することができないため、会議開始前において各グループにフロントに来ていただき、修正案提出の段階までにはその内容の矛盾を解消するよう説明しました。DR4については、その場で矛盾が解消されました。
DRに対する幅広い支持を得るために行われる、修正案(アメンド)作成の交渉の結果、正午に二つのアメンドが提出されました。しかし、DR2.rev1についてはスポンサーの調整不足という手続き的な不備もあり、却下されました。また、この段階においてDR2は矛盾が解消されていなかったため、正式に提出されていないという扱いとなりました。
その後、再度議長によって提案されたModerated Caucusにおいて、提出されたDRやコンバイン案に対するコメントや質問を各グループにしていただきました。
スピーチを多く回した後、投票行動に入りました。DR1.rev1とDR4が投票にかけられ、前者は賛成多数で可決され、後者は反対多数で否決されました。

■決議要旨

今回の会議では、投票の結果、決議が一本成立しました。
その決議の内容としては、主に①常任理事国維持、②準常任理事国二カ国創設、③非常任理事国八カ国拡大、④拒否権の制限(テーマ・数による制限)、⑤透明性(総会への報告、非理事国のアクセス)でした。
スポンサーは主にUFCとS5であり、UFCの議席拡大に対する意見と、S5の拒否権や透明性についての意見がうまく取り込まれていると思います。全体としては、バランスの良い内容となっていました。
①、②、③の議席拡大の文言は、どの国も賛成しやすいという点で、妥当な案だと思います。ただ、コンセンサスグループとしては準常任理事国を入れたことで少し譲歩しているように感じました。準常任理事国を、G4やAUを取り込むための交渉材料として、さらに有効に利用できたと思います。
④、⑤の拒否権や透明性については、S5の意見が特に反映されており、独創性のある積極的な内容となっています。ジェノサイドや戦争犯罪において拒否権行使を制限するという文言は、なかなか議論のまとまっていない「保護する責任」というトピックでも議論されており、この文言が今回可決されたことは大きな成果であると思います。
以上のように、政策の実効性・現実性を踏まえつつ、独自性や柔軟性など高校生らしさも織り込まれた決議となっています。

■会議総括

大使の皆様は安保理改革という議題をしっかり咀嚼した上で行動していたように感じました。安保理改革は、国連内部の機関の組織構造を議論するため、様々な複雑な概念が混在するなどややチャレンジングな議題であると思いますが、それらを消化して会議行動ができていました。
ただし、議題の理解とは別に担当国の政策については、引っかかる部分も多少ありました。政策に対しては独創性も求めていましたが、担当国の実際の政策から乖離しすぎない程度に留めることを意識してもらいたかったです。
とはいえ、グループ形成が迅速に進んだこと、妥当なグループ構成が多かったことから見ても、多くの大使はしっかり担当国の政策を踏まえていたのだと思います。
また、DR内に矛盾点があったり、コンバイン交渉が難航したりするなど、安保理改革という国益や対立の明確な議題ならではの交渉の難しさがあったようです。しかし、最終的にコンバイン案の決議が成立し、大変な交渉をまとめていく模擬国連の醍醐味も感じていただけたと思います。
さらには、様々な独創性や柔軟性にあふれる提案をしていただき、会議を設定した側としても気づかされる点が多々ありました。皆様が様々な解決策を一生懸命模索していることが伝わってきました。

■2010年度の大会基調講演

明石康氏基調講演
「国連というチャレンジが若い世代に持つ意味は?」 GCJ10_akashi_speech.pdf

■受賞校
最優秀大使賞
Barbados大使 桐蔭学園中等教育学校(神奈川)
優秀賞(五十音順)
Republic of Korea大使 麻布高等学校(東京)
Czech Republic大使 香川誠陵高等学校(香川)
Russian Federation大使 渋谷教育学園幕張高等学校(千葉)
United States of America大使 灘高等学校(兵庫)
ベストポジションペーパー賞
Brazil大使 聖心女子学院高等科(東京)

報告書はこちらからご覧いただけます。